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東日本大震災による液状化で、電柱や門壁などが傾いた千葉県浦安市内の住宅地=市提供
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 過去840年間の地震で起きた、自宅が傾くなどする「液状化現象」を現在の自治体単位で分析すると、全体の約3割にあたる45都道府県627市区町村で発生していたことが分かった。東日本で多い「東高西低」の傾向で、この間、液状化をもたらした地震の25%は直近50年に発生し、専門家は埋め立てなど都市化の影響も指摘する。

 分析では、国土交通省の国土審議会専門委員などを務めた若松加寿江・関東学院大元教授の協力を得た。著書「日本の液状化履歴マップ 745―2008」(東京大学出版会)と、若松氏が現地調査や文献などから液状化が起きたと確認した場所のデータを活用。液状化は広範囲で起きることが多く、地点数でカウントすることが難しいため、市区町村単位で分類した。

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 データがある1185~2024年に液状化が起きたとみられる地震は160あり、うち直近50年間に41地震が発生していた。大きな地震が続き、埋め立てや造成など土地開発が進んだことも要因の一つという。また、山地沿いでの発生は少なく、低地で多いほか、気象庁の過去100年間の地震データを加味すると、震度5以上の地震が多い東日本での発生が目立った。

 2011年の東日本大震災は最も多く、東北、関東の全13都県の181市区町村で、液状化が発生。若松氏らの調査では発生箇所(250メートル四方を1カ所とカウント)は8680カ所にのぼった。国交省によると、戸建てを中心に約2万7千件の宅地被害があり、埋め立て地が多い千葉県浦安市が3割超を占めた。若松氏は、過去に液状化した場所が再び液状化したケースが100カ所以上あるとし、「一度液状化した場所は、強い揺れで再び液状化する可能性が高い」と指摘する。

 次に多いのは、岐阜県を震源とする濃尾地震(1891年、13府県88市町村)で、関東大震災(1923年、6都県74市区町)と続き、昨年の能登半島地震(4県32市町村)は6番目だった。

 複数回の発生は、40都道府県の計272市区町村に及び、5~8回は15道府県31市町だった。最多は新潟県長岡市の8回で、同県上越市、名古屋市(7回)、大阪市、静岡市など(6回)、横浜市、岡山市など(5回)と続いた。

記事の後半には、市区町村ごとの液状化被害が検索できる「日本の液状化履歴マップ(1185~2024年)を掲載しています。

「都市化の進展、液状化リスク大」

 若松氏は「山地にある自治体…

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